小夜子の世界

40人目 佐野周一さん(福井新聞社・事業局長)
 兄のような人。出会いはもう5年ほども前になる。前進座で『蓮如』公演を福井でやったとき、思いもかけない事態に襲われた。  それは全く前進座側の営業所員と部長の無責任さなのだが、私がステージを作り、営業所員に後を任せた関係から、ほおっておくわけにはいかなかった。  初日10日前で、福井2000席のうち、300席ほどしかチケットが売れていなかった!  その次の公演場所である金沢は、800席ある会場にもかかわらず、昼の部50席、夜の部も50席しか売れていなかった。旅の初日までたった10日。  稽古が始まっていた。わたしはヒロインの蓮祐という大役だったので、稽古を休むことも遅れることもできなかった。  しかし、蓮如さんが活躍された吉崎のある福井と、この本の作者である五木寛之先生の活躍された金沢で、がらがらで舞台を開ける訳には行かなかった。  ありとあらゆる出来ることを考え、福井に飛んだ。  劇団内で手伝ってくれる人は一人もいなかった。全くの孤軍奮闘。今となっては面白い体験だったといえる。天はこんな風に、危機に強くなれるようにと、試練を与えてくださったのだから。  10キロの荷物を抱えて日帰りの出張。  福井の佐野周一さん、西本願寺の藤原典穂さんほか数人の方に集まっていただき緊急会議。夜金沢にも飛んだ。  結果・・・!!! 奇跡は起きた。 福井公演は800人が観劇。金沢では、昼夜ともほぼ満席。  人生には、こんなことが起こるのだ。人が本気になって手を尽くした時、きっとなにかが起きる。  あの窮地で、私に同志といえる人を得た。そのとき以来、佐野さんは私の生涯の兄貴になった。
 
2004年01月25日 18:56 | カテゴリ:この人との出会い | コメント (0) | トラックバック (0)
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